特殊清掃と遺品整理の違いは?仕事内容と業者の資格面から解説

特殊清掃業者と遺品整理業者は共通点も多いですが、似て非なる仕事です。

本日のブログでは仕事内容の違いと資格等について記載していきたいと思います。

特殊清掃が必要な場面にも関わらず遺品整理業者を呼んでも意味がありません!

これからご依頼を考えている方や起業したい方の一助になれば幸いです。

少し専門的なことも記載しているので難しいかもしれませんがお付き合いください。


特殊清掃と遺品整理の共通点

タイトルの共通点の結論から申しますと「廃棄物処理」や「片付け」が必要ということです。

ただし、仕事して行うわけですから法令順守は当たり前です。

以下、説明をしていきます。

【社会的背景】

昨今の超々高齢化社会や核家族化によって独居老人世帯・老夫婦世帯が増えたりと、子どもとは別居している家庭が多くなりました。

家族バラバラに住んでいる世帯が増えました

以前であれば三世代で同居している家族も珍しくなかったので、必要なモノを捨てる量も少なかったのですが、それぞれが家庭をもち必要なモノが揃っているため「遺品」として引き続き使用することも少なくなりました。

婚礼ダンスや食器棚、鏡台なども今では元々収納がついているお宅も増えてしまったため、大きくて邪魔な物の1つになってしまいましたね。

核家族化や世帯数を多くするのは高度経済成長期の政策の一環で、世帯数が多くなれば、その分家電や家具などが購入する必要があるから大量生産、大量消費の時代には経済的には良かったのです。

高度経済成長期によって得られるモノと失うモノが・・・

ところが、”浅はかな考え”というのは将来的にこのような社会問題を生むということを想定していなかったのでしょう。

人間目先の利益に走ると良いことが無いものです。

都会部では特に近所関係の希薄化、個人主義など人間関係が薄れてきて「互助の精神」が薄れてきています。

古き良き「お節介(せっかい)」の精神や風習がなくなりつつあります。

ちょっとした手伝いも知人や家族に依頼するよりも専門業の人に依頼した方が気が楽だという方も増えてき遺品整理はそういった社会環境の変化から生まれた「代行業」の一つです。

粗大ごみや大型ごみは一人で持つことが出来ず男性二人で搬出しなくてはいけなかったり、親族や近所の人たちで行っていた遺品整理も便利屋さんや不用品処分業者などがするようになりました。

重量物の搬出など需要の高まりで遺品整理専門店が増えています


【廃棄物の複雑化】

ゴミの分別も埋め立て地が減ってきた影響もあり、複雑化してきています。

遺品を片付ける、ごみを捨てる、廃棄物を捨てるという一見単純なことでも守るべき法律があります。

廃棄方法が特別で有料の物も増えてきました。

例えば、リサイクル家電対象物(TV、冷蔵庫、洗濯機、クーラーなど)、古いパソコン(PCリサイクル券がない)、廃タイヤ、消火器、薬剤・薬品、廃オイル・灯油、耐火金庫、ピアノ、業務用複合機・・・等など。

リサイクル家電法対象物

また可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみ、危険物ごみなども各地方自治体によって分別方法が若干違います。

硬プラスチックは可燃か?不燃か?

軟プラスチックは可燃か?不燃か?はたまた綺麗な物は資源ごみか?

全国一律なら楽なのですが・・・

結構、これらを一つ一つ調べて分別するのも精神的苦痛となります。

・時間の余裕がない

・人的余裕がない

・精神的苦痛

・重量物の搬出は肉体的、体力的に無理

・マンションの場合は台車や養生資材の用意

・一度に大量の廃棄品をゴミ捨て場におけない

・レンタカーの手配が面倒、トラックの運転が出来ない

これらのような様々な障害があり、自分達でやるよりは専門業者に依頼したほうがいいという時代になりました。

家具を一度に捨てるのも大変ですよね?


【特殊清掃も増えてきた】

遺品整理と同様に社会問題の一環で特殊清掃の需要も増えてきました。

年齢の高低に関わらず日本は独居者が多くなり、孤独死が増えてきました。

死後数日〜数か月(長い時では数年)経過したお部屋の腐敗臭の清掃や消臭を行います。

また、様々な理由でゴミ屋敷化してしまったお部屋に住んでいる方も多いです。

ペットブームによりきちんと躾や面倒を見れない飼い主も増えました。

糞尿臭で汚れてしまったお部屋は動物が悪いのではなく100%飼い主が悪いです!

火災臭(スス臭)灯油漏れなどの消臭作業も行いますし、大雨で床下床上浸水をしてしまったお宅の清掃も行います。

基本的に汚れてしまって清掃では対応不可能なモノは廃棄処分となります。

特殊清掃業も片付けを行うことが多いので遺品整理業と共通することは「片付け」があることです。

ゴミ&ペット部屋で糞尿で汚れた家具などは廃棄します


特殊清掃と遺品整理の仕事内容の違い

遺品整理は基本的に「片付け」がメインです。

通常のお部屋であればハウスクリーニングも行う業者もいますがレベルとしてはそれほど高くない傾向にあります。

また、ご遺品の「買取」や「リユース、リサイクル」を行っている業者も多いです。

遺品整理の他にリサイクルショップを営んでいる企業や個人事業主は買取がメインで遺品整理を行っている場合が多いです。

因みに、特殊清掃となると買取品の状態が悪いことが多く、更に色々なニオイが付いてしまっているため、敬遠されがちなのでリサイクルショップ系遺品整理業者はあまり特殊清掃業に参入していません。

しかしながら海外輸出業者の場合はニオイをあまり気にしない業者もいるとかいないとか・・・。

臭いものは敬遠されますよね?


特殊清掃では消臭を考慮した適切な清掃を行い、消臭作業を行い、原状回復を行うということです。

遺品整理業の”一段階上の業務”と思って頂いて構いません。

特殊清掃が出来る業者は当然の如く遺品整理は出来ます。

しかし、その逆はそうとは限らないと覚えておいてください。

特殊清掃は知識、道具、経験が必要な職種

【使う道具が違う】

遺品整理業の場合は搬出作業がメインなので、専門的な消臭道具を持っていないです。

消臭の資機材は専門的で高額な物が多いため、そこまで用意出来ない業者もいますし、知識や経験も必要となってくるため安易に手が出せない業種となります。

また、作業員も「血や体液が苦手」、「虫がダメ」、「霊感がある」、「気持ち悪い、気味が悪い」、「猫アレルギー、ダニアレルギーがある」など作業員としての適性が求められることが多いので人材の面でも少し違います。

特殊清掃の場合は、夏場にフルフェイスマスクをして、防護服、手袋、長靴とフル装備をして臨む現場もあるので体力面でも厳しい現場です。

地下の灯油漏漏洩現場消臭作業時の装備です

精神的にも肉体的にも特殊清掃の方が大変です。

遺品整理はどちらかというと「引越し業」に近いですが、扱うのは廃棄品のため引越し品のように慎重な運搬や過度な梱包が不要だったり手間が少ないです。

また搬出作業のみで搬入作業が無いので引越し業よりも個人的には数段楽だと思っています。

ニオイを消すためのリフォームの知識も必要となってきます。

弊社ではリフォームは直接行っておりませんが、『㈱アイウィル』と一緒に連携して原状回復を行いますのでご安心下さい。

上記は弊社と連携してリフォームしたお部屋です。全く印象が違いますよね?


許可や資格について

一般廃棄物収集運搬事業許可(イッパイ)が必須!

遺品整理の場合は家庭から排出される廃棄品を扱うので『一般廃棄物収集運搬事業許可(以下、イッパイ許可)』が必要となります。

但し、この許可については「許可が比較的取りやすい地域」「取得条件が厳しい地域」と「絶対に許可を出さない地域」とあります。

「許可が比較的取りやすい地域」はイッパイ許可業者が殆どいないような田舎や過疎地であれば取得可能な場合があります。

但し、需要がない地域のイッパイを持っていても意味がありません。

「取得条件が厳しい地域」は諸条件をクリアし、申請を出したらOKが出る地域ですが、それなりの資本金や経営力、車両数、土地、地域に貢献した歴史がある、政治力がある(地元の議員さんと懇意など)など、ある程度厳しい条件をクリアしないといけませんので新規参入者が簡単に取れるわけではありません。

札幌市のように「絶対に民間企業に許可を出さない!」という地域も少なからずあります。

既得権の関係や民間業者が参入することで不正や法令違反をする業者を締め出すという狙いもあるのですが、今後の遺品整理の需要増を考えると適切では無いと思います。

すぐにパッカー車を手配出来ない場合もあり現代のニーズに則さない


それではイッパイ許可がない遺品整理業者はダメなのか?

各地方自治体から許可をもらっている地元業者さんと連携して廃棄を行えば問題ありません。

むしろ、許可がない業者が出来る唯一の方法と言えるでしょう。

一昔前は依頼者をトラックの助手席に乗せて一緒にゴミ処理場に行くという方法や委任状を書いてもらって廃棄するという方法もあったり無かったりと聞きますが、いずれにしてもこれは黒に近いグレーな方法です。

1回や2回程度であれば上記の方法でも可能かもしれませんが、「業」(仕事)として継続して運営していく場合は処理場の方でストップがかかる時代です。

【一廃許可第〇号】など基本的に車体に許可番号が掲載されていない場合は要注意です


産業廃棄物収集運搬事業許可(以下、サンパイ許可)は?

よく見積もり時に「ウチはサンパイがあるから大丈夫です!」という業者が未だにいると聞きますが、一般家庭から排出される廃棄物はサンパイ許可では違う許可なのでダメです。

簡単に説明するとサンパイは経済活動で排出される廃棄物が対象物で捨てられる物も決まっています。

弊社もサンパイは持っておりますが、時折イッパイでは処理出来ない物も出てくることがあるので、使用することがありますから遺品整理業者は無いよりは有った方が絶対に良い許可です。

例えば弊社では灯油漏洩現場の際に出る「廃油・廃灯油」を廃棄する際はサンパイとして中間処理場に持ち込みますので必要ですし、リサイクル家電法対象物や耐火金庫などを運搬する際に有った方が良いです。

灯油を中和した液体も産廃扱いとなります。

但し、上記の通り、「ウチはサンパイがあるから大丈夫」と平気で言う業者は不勉強か、不誠実な業者ですので”遺品整理業者としては不適切”だと思います。

耐火金庫は中間処理場に運搬して処分してもらいます

※因みにサンパイはイッパイと違って2日間の新規講習を受け、簡単なテストに合格し、その後書類申請をすることで普通の業者なら許可を得ることが出来ます。(産廃取得方法の詳しい方法は別のサイトでお調べ下さい)

産廃と一廃の違いもきちんと説明してくれますので受講した方が良いです


古物商許可は?

同じように「うちは古物商許可があるので大丈夫です!」という業者もいるようです。

リライブルは北海道公安員会 第1010500000680号です

確かに、古物商許可は「再販出来る物」については自社トラックに積み込んで運搬してもいいのですが、「生ごみなどどう見ても再販が出来ない物」については許可が違うので廃棄品は運搬出来ません。

また、古物商を盾に遺品整理を行うのであれば、作業代などのお金は一切依頼者が払わずに済み、なおかつ業者からお金を頂く立場であれば問題はありません。

しかしながら、多くの業者は何らかの理由で搬出代や作業代、出張代などの名目で料金を請求してくると思います。

その際は、廃棄物に関する許可を保有していないので、「廃棄目的の買取行為」となり違法行為です。

因みに弊社でも古物商許可は持っており、買取可能品は積極的に買取をさせて頂いております。

遺品の売買も【売買契約書】が必要で控えを渡さない業者は違法です

一般の方からすると何を言っているのか分からないと思いますが、遺品整理で必要な許可は「イッパイ許可」と覚えておいてください。

そして、その許可が無い場合は、持っている業者と連携して廃棄するという説明をする業者を選ぶようにして下さい。

各地方自治体によって、廃棄料金や収集方法が違いますので詳細はお見積りにてお答えさせて頂きます。

リライブルでは北海道各地でご依頼を頂き、各地のイッパイ業者さんと連携して廃棄を行っておりますので不法投棄の心配はありません。


遺品整理に関わる資格

遺品整理士認定協会が発行している『遺品整理士』民間資格で一番有名ではないでしょうか?

通信教育なのでテキストが送られて来てそれに回答すれば資格を頂ける仕組みです。

遺品整理士より上ランクの【特定遺品整理士】というのもあります

資格レベルとしては簡単な部類なので無いよりはあったほうがいいです。

全く基礎知識が無い、新規参入者にとっては遺品整理士をクリアー出来ないようなら辞めた方がいいです。

ただし、「遺品整理士在籍」とHPに書かれていても「トラックパック」を行っている廃掃法の違法業者が居ますし、更新をしていなかったり、除名されていたりします。

さすがに会員数が多くなってくると協会側でも全ての業者を管理しきれていない雰囲気があります。

最近ではコロナ禍もあり現場セミナーなどを開催することが難しいこともあり教育が出来ない難しさはありますね・・・。

現場セミナーは知識だけではなく横の繋がりも出来る大事な場です

リライブルではこの遺品整理士の現場セミナー講師を3年連続で行った実績があります。

一応、選定基準があるので誰でも彼でも講師になれるわけではないです。

”とある理由”があって講師は辞退していますが、現場講習は素人の方には大事な研修現場ですので早くコロナ禍が終息することを願っております。

基本的には遺品整理に関する国家資格は令和3年8月現在ありませんので誰でも出来ると言えば誰にでも出来る仕事です。

しかしながら、廃掃法を守らない人やモラルが欠如した業者には新規参入してきて欲しくはないです・・・。

遺品整理は新規参入は簡単ですが継続することは難しいですよ


特殊清掃に関する資格について

これまた、遺品整理士認定協会と同じ運営団体の事件現場特殊センターが発行している「事件現場特殊清掃士」という資格があります。

遺品整理士と同じく通信教育です。

日本除菌脱臭サービス協会が発行している「脱臭マイスター」「除菌マイスター」などの段階を踏んで習得していくマイスター制度も同様に民間資格ですがこちらの方が事件現場特殊清掃士よりも専門性が高いです。

コロナ禍前は頻繁に東京に勉強しに行っていましたが最近はZOOM講習が主流となってしまいました

臭気に関する唯一の国家資格はにおい・かおり環境協会「臭気判定士」です。

これは私も東京で5日間勉強会に参加し挑戦しましたが、難しいです。

臭気に関することを専門的にやりたいなら是非!

合格率も30%前後ですので理数系の得意な方は挑戦してみてもいいと思います。

しかし、この「臭気判定士」はどちらかというと公的機関や悪臭対策法に関わる人たちが必要とする資格で「分析」がメインなので消臭に関する技術を習得する資格ではありません。

特殊清掃業に関しては国家資格がなくても開業することは可能です。

臭気判定士の勉強はタメになります


最後に〜特殊清掃が必要な場合に遺品整理業者を呼んではいけない!

少し遠回りしてしまいましたが、特殊清掃が必要なのに遺品整理業者を呼んでも役に立ちません。

場合によっては懇意にしている特殊清掃業者に相談して紹介してくれるかもしれませんが、それなら最初から実績のある特殊清掃業者を呼んで頂いた方が話は早いです。

一般の方には特殊清掃も遺品整理も同じような仕事だと思われていますが実は違うのです。

混乱していたり急いでいたらわからない?


特殊清掃も遺品整理も資格や許可が無くても出来る仕事?

遺品整理も特殊清掃も国家資格が無くても、特別な許可がなくても開業することは出来ます。

しかしながら、社会的信用がなければお仕事の依頼も来ることはありません。

開業はすることが出来ても継続して運営していけるかは許認可だけではなく経営者の人柄や努力によるものが大きいと思います。

簡単に起業しては廃業していく人たちを私もたくさん見てきましたが、「経営戦略・成長戦略をきちんともっているかどうか?」という【経営面】と「人の役に立ち、喜んでもらうにはどうしたら良いのか?」という【志の面】と2つの両輪がバランスよく回らないと継続することが難しいでしょう。

近年では『ただ高いだけのボッタクリ業者』は自然淘汰されてきているのですが、『安くて早くて便利だけど廃掃法を守らない業者』も残念ながら存在しています。

短期間なら良いでしょうが永続して経営することは出来ないでしょう。

出来ることなら永続して経営出来る企業に依頼して頂き、その企業を応援して頂けると幸いです。

社名に掲げる信頼される企業を目指す!
リライブル株式会社
0120-669-920
(スマホの場合は上記を押すと電話に繋がります)

・営業時間は9時〜18時が基本ですが、ご依頼者様の都合に柔軟に対応させて頂きます。
・同様に土日祝日は作業はお休みですがお見積りには伺えます。



遺品整理・生前整理・不用品処分代行などの家財整理全般

・上記に伴う買取も積極的に行っており作業代の削減に努めます。

孤独死現場・事件現場・自殺現場などの特殊清掃及び消臭作業

ゴミ屋敷・ゴミ部屋・汚部屋などの片付け及び清掃

ペットの多頭飼育崩壊現場の糞尿臭の原状回復工事

火災・ボヤによるスス臭の消臭(保険対応することが多いです)

灯油漏洩現場の消臭作業(保険対応することが多いです)

・その他、ニオイや凄惨な現場でお困りの方はお気軽にご相談下さい。

【注意点】
・少人数で運営しているため、24時間事務所に電話番が常駐しているわけではなく転送電話にて対応しております。
・せっかくのお電話でも現場作業中ですぐに出られない場合に【非通知設定】だと折り返し電話がかけられない場合がございます。
・お時間をずらして再度電話して頂けると幸いです。
・営業時間外のお電話でもフリーダイヤルにて対応可能です。

・メールは簡易設定にしております。
・再度、詳しい内容をお伺いすることもありますが最低限の必要事項を記載の上、返信をお待ちください。

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